※この記事はネタバレを多く含みます。
「留置場のススメ」は新垣栄二さんよって描かれたノンフィクション体験談です。
悠々自適な生活をしていた財前(新垣栄二さん)は「流動商品取引法違反」の罪で逮捕されることになります。
会社の実務からは既に退いた立場だったため、業務内容も良くわからない状態で逮捕された財前さんの24日間の留置場生活・留置場で出会う逮捕者や刑事・検事について書かれた著書です。
この本をおすすめできる人
- 留置場生活がどんなものか知りたい人
- 取調べの理不尽さを知りたい人
- 物語調で留置場生活を読みたい人
- 逮捕を覚悟している人
この本をおすすめできない人
- 情報の整理された本を読みたい人
留置場のススメのあらすじ
とある会社の代表取締役であった財前さんは、商売が上手くいき実務的な業務から離れて会長のような立場だった。既に実務からは退いた立場であったが、経営している会社の一部で法律違反となる部分があり逮捕されることになる。
逮捕され警察署に到着するとフラッシュライトの嵐。身体検査の後、これから22日間過ごすことになる留置場にいれられることになる。
逮捕されるまでは裕福な暮らしをしていた財前は、留置場の中ではまるで囚人のような待遇を受けることになる。
髪の毛を洗うシャンプーの量を規制され、質素な食べ物を提供され、ありあまる暇な時間は本や「留置場のススメ」の元とななる弁護士ノートの執筆などをして過ごすことになる。
財前の主張を全く聞き受けない刑事や検事の取調べに辟易しながら、否認を続けていく。裁判官には「否認している」ということで「あなたを勾留する事を決定します。また、接見禁止が付きました」と言われ、勾留が決定してしまう。
逮捕された時から勾留満期まで留置場に入ることは想定してあった財前も「服の匂い」「シャンプーの少なさ」「検察庁の待合室の椅子の硬さ」などに辟易としていた。
留置場で様々な人たちとの出会いも経験する。「酔っぱらいのおじさん」「やくざ」「詐欺犯」「医者」など、バラエティの富んだ人々との出会い。
財前は法律違反してしまった会社の実務には関わっていなかったのだが、実質的権限者として罪を問われる。会社の実務を任せていた者が「財前に指示された」と主張しだしたことから、起訴されるのでは?と窮地に陥るのだが、勾留満期で釈放されることになる。
留置場での生活で、最愛の彼女のことをいつも気にかけていた財前は、釈放後彼女との再会に歓喜して物語は終わる。
取調べの問題点:話を聞き入れない刑事・検事
何度取り調べで「自身の主張」を伝えても刑事・検事に都合の良い情報しか調書に書かない刑事・検事の取調べの方法は非常に問題があると感じました。
「それでもボクはやってない」を観た時にも感じたのですが、取調べは非常に問題があるなと感じました。逮捕される人たちは残念ながら嘘つきが多いです。それでも、長所には被疑者の主張をしっかりと書き記しておかないと、冤罪事件が起きる可能性があります。
人質司法と呼ばれる身柄を拘束して刑事・検事の都合の良い調書を取るという悪しき伝統は早期に解決した方が日本のためだと思います。取調べの可視化のために録画が義務化されていますが、対象事件は全事件の3%、まだまだ不十分です(日本弁護士連合会:取調べの可視化)。
留置場のススメのまとめ
留置場のススメは物語性が強くすごく面白かったのですが、あらすじ紹介ではその1/10も良さを伝えることができなかったと反省しています。
kindleなら無料で読むことができる期間があるので、そのタイミングでぜひ読んでみてください。
リアリティのある留置場体験談を読むことができます。
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